ハーブ代を節約した話

数年前からガーデニングならぬべランディングをやっている。

最初の年は、きれいな色の花を咲かせることに憧れた。

ひまわりやラベンダーをはりきって種から植えた。

当時は、べランディングのイメージは、種から植えることだったからだ。

苗から買うってことは一切思いつかなかった。

夏にはすばらしいひまわりが咲くことを夢見て、芽がでたりすると大騒ぎして、楽しんでいたのだが、いざ夏になってみると、咲いたには咲いたが、なんとも貧弱な、かわいそうなひまわりばかりになった。

ひまわりっていうよりは、黄色のマーガレットって感じだった。

いや、マーガレットだってもう少し強そうなんではないかと思う。

 

原因は薄々気づいている。

もちろん、ベランダ栽培というハンデは最初からわかってるけど、これは自分の環境がそうなのだから仕方がない。

ベランダ栽培でも立派な花をたくさん栽培している家はある。

 

私は、「間引き」ができなかったのだ。

種のパッケージの裏に書いてある説明を読むと、最初は全ての種を植えることになっている。

芽がでてきたら、その中で選別して、3つくらいに絞り込めとある。

あとの芽は、残酷なことに抜いてしまうのだ。

 

あれがどうもダメ。

なんとなく格差社会とかを思い出して、弱肉強食とかを思い出して、会社とかを思い出して、こんな、ベランダでも競争が行われているのか、と思うとつらかった。

出てくる芽は全部かわいい。

だから、私は悪平等を貫いた。

そうしたら、会社の体力が弱体化したらしい。

良かれと思ってやったのに、植物がかわいそうな結果になった。

ラベンダーはついに開花しなかった。

 

2年目は、その反省を十分に生かし、今度は苗を買ってみることにした。

種から植えるとどうしても間引きをしなくてはならない。

それはやりたくないとなると、苗から買う、つまり中途入社である程度実力を備えた社員を最初から引き抜くことにしたのだ。

 

この年は、ハーブの寄せ植えというのに関心を持った。

そこで、一つはハーブ鉢として、バジルとイタリアンパセリとローズマリーを寄せ植えしてみた。

みんな苗から買った、「第二新卒」くらいの中途入社だ。

 

もう一つの鉢は、イングリッシュラベンダーとレースラベンダーの2種類のラベンダーを苗から買ってきて植えた。

あとの鉢は、彩り優先の、一年草の草花だ。

 

苗から買った第二新卒は皆優秀だった。

ただ、この中でもしばらくすると、頭角を現してくる者がいて、それがバジルだった。

最初、たぶん3株くらいしかなかったのに、いつのまにか株まで増えて、堂々と大きくなっていった。夏場なんか日進月歩の勢いで、とても料理に使うのには追いつかなかった。

かといって、例によって草花をかわいがりすぎたため、まだ小さい苗を料理に使うのはイヤだったので、どっちにしても、結局収穫はしなかった。

バジルの勢いに負けたイタリアンパセリとローズマリーは元気がなかったが、植木鉢一杯に成長したそれらは、もはや分けて植え替えることもできなかった。

 

夏頃、バジルの突端に花が咲いた。

例によって大喜び。

毎日開花するバジルの花に、感動していた。

 

だが、その後バジルは急速に衰退した。

インターネットで調べてみると、バジルは花が咲いたら枯れる。ずっと元気にしておくためには、花が咲いたら迷わず切り取ってしまわなければいけないとあった。

 

また、間引きか。

 

少しは切り取っていたが、結局花の咲くスピードに切り取るスピードが追いつかず、全部終わってしまった。

もうダメだな、と観念したときに急いで残ってる葉っぱを収穫して、乾燥させてオリーブオイル漬けにし、バジルオイルを作った。

 

バジル亡き後の寄せ植えの鉢は年を越して、翌年、今度はイタリアンパセリが勝ち組となった。

かわいそうなローズマリーが地を這うように下に下に伸びている一方で、パセリは元気よく、大きくなった。

バジルがあったときにはよほど遠慮してたんだろうなあ、と思った。

 

しかし、学習しない私はまたやってしまった。

パセリも開花し始めたのだ。

植物が違うってことと、やはり花を切り取ることが苦手な私は、花火のようなパセリの花を日々楽しんでるうちに、なぜか葉っぱの方がほとんど枯れてしまい、食べるところがなくなってしまった。

まだ生きてるとは思うし、冬になって新しい葉っぱが出てきているから、今度こそ再生させてみたいと思うが、この先うまくいくかどうかはわからない。

 

今やこの鉢でもっとも信頼できる存在はローズマリーだけとなった。

バジルとパセリに遠慮していたため、うちのローズマリーは枝だけはしっかりとした「木」になってるのだけど、卑屈に下の方下の方を目指して生えている。

だから、太陽にも当たりにくいらしく、花は咲かない。

調味料としては最も使えて、豚のハーブ焼きとかをするときに、

「ごめんね。もらうよ」

とか言いながら、少しずつ切り取って使わせてもらっている。

 

寄せ植えしたラベンダーの方はというと、こっちは元気。

真夏はくたばってるけど、冬は元気。

今もレースラベンダーの方が紫の花を一杯つけている。

食べれないのがなんなんだが、そのかわり、純粋に花として楽しんでる。

イングリッシュラベンダーの方は若干時期が違うらしくて、春秋に突然優勢になって、たくさんのつぼみがつく。

どうも活躍する時期が違うので、勝ち負けが出ずに、狭い植木鉢をうまくシェアしているようだ。

 

来年、春になったら、今度はどんなハーブを育てようかなあ、と考えている。

バジルを再チャレンジして、ジェノバソースを作るのだ、というのが一つの目標なんだけど、ちゃんと迷わずに収穫することができるだろうか。

バジルの葉は、収穫するには可愛すぎる。

 

とりあえず、お勧めできるのはローズマリーだと思う。

これは、(うちの場合、スポイルされながら育ったせいもあるかもしれないが)一気に成長するタイプの植物ではなく、地味に強く成長し続ける職人タイプのハーブだ。

それに、ローズマリーはいろんな料理に使いやすく実用的だ。

だけど、大体の料理で、ハーブは大量には必要とせず、一枝あれば十分だ。

そういうものこそ、家庭菜園の意味があると思う。

 

一生懸命育てて一枝に一個ついて収穫するブロッコリーなんか、食べる目的としては、効率が悪い。

スーパーで買ってもあまらせてしまうハーブ類こそ、栽培に適しているものだと思う。

 

そして料理好きな人ならば、乾燥させてスパイスを作ることもできるし、そうすればすごく長持ちする収穫物になると思う。

 

愛でながら食べるっていうのはなんか矛盾がないでもないんだけど、ハーブ類はとくに家庭菜園に向いてる植物だと思う。

 

(H19.12.21)

 

★この方法の効果

 

・必要なハーブが必要なだけ、いつでも収穫できる

・愛情を持って生命をいただくことができる

・趣味としても生かせる。日曜日は家庭菜園の日とかにすれば、外出する費用が節約できる