わが国の食料自給率は70%?

日本の食料自給率は40%前後で推移しているはずなのに、それが一挙に70%まで上昇したのかと思いびっくり仰天した。まさかそんなことあり得ないし、信じられる訳がない。「ウソ」だ!

ところがまんざら嘘ではないらしい。我々が口にする食料を金額に換算すると自給率は70%になるそうだ。
これまでの40%という数字は食料のカロリーに基づいて計算された食料自給率なのである。
急に表舞台に立った70%の意味について考えてみよう。

食料自給率とはその名の通り食料を自給自足できる割合を示す指標である。万一何らかの理由で食料の輸入が止まってしまった場合に、国内でどの程度食料を賄えるか、そのレベルを表している。
現在わが国の自給率はカロリーベースで40%と計算されている。

2000年の「食料・農業・農村基本計画」で農水省は2010年の食料自給率目標を45%に設定した。5年後の今年に基本計画の見直しを行うが、目標値の45%はそのままに、達成年度を2015年へ先延ばしすることとなった。
同時に従来のカロリーベースの自給率に加え、金額で換算した自給率を併用し二つの目標を追う、とした。金額ベースの自給率は現在70%である。これを2015年には76%にまで引き上げる目標が追加されたわけである。

カロリーベースで40%、片や金額ベースでは70%という大きな開きの理由は、国内産の農産物や畜産物のほうがカロリーに対する価格が高い(品質が良い)からとされる。確かにそうかなと思う。国産品のほうが安心だろうし、価格が高ければ品質も良いだろうと思い込む悪い習慣もしっかり身につけてしまっている。家畜の飼料として輸入される穀物の量も多いんだろうな、などと想像もしながら30%の開きを納得することにしよう。
ところで先進国の多くは穀物自給率を自国の食料自給率としている。カロリーに換算して自給率としているのはわが国と韓国ぐらいのものである。ちなみにわが国の穀物自給率は28%である。

金額ベースの食料自給率を併用する理由は、国内の生産活動を正当に評価するためだそうだ。あれれ、ちょっとおかしいぞ。食料自給率は国民への供給安定度を示す指標のはずである。生産量が半分に減少しても小売価格が2倍になれば自給率に変化なし。価格が3倍になれば自給率の改善になってしまうのでは何が正当な評価なのかわからない。為替レートも影響する。円高になれば自給率が上がる?なんておかしくないですか。

政府は重い腰を上げ、自由貿易交渉(FTA)や経済連携協定(EPA)に乗り出した。外国貿易における不利益を回避するためだが、これは農産物の輸入増加に繋がり、食料自給率を低下させる要因となる。カロリーベースの計算では自給率が改善される見込みは無い。
金額ベースの自給率目標が、なんとか見栄えのいい目標を作り国民の目をそらそう、などと考えての事でなければよいのだが。

(H17.3.1)