偽造キャッシュカード問題

偽造キャッシュカード問題が騒ぎになっています。
暗証番号があるからクレジットカードよりは安全だと思っていたけど、1月のゴルフ場詐欺事件を皮ぎりに、にわかこの問題がクローズアップされています。

キャッシュカードの情報が盗まれるのは、古典的にはキャッシュカードを身から離したとき。
飲食店で上着に財布を入れたままハンガーにかけたとか、温泉やスポーツクラブのロッカーとか、まあ、気をつけていれば難を逃れるケースは少なくないと言えるでしょう。古典的には。

ただ、最近は気をつけていてもだめなんじゃないか?と思うような事件が増えているのが気になります。
先日のゴルフ場事件では、ロッカーの暗証番号とキャッシュカードの暗証番号が同じだった人が多かったため、暗証番号を類推されています。これなどは、被害者の不注意とは言い切れないものがあります。
もちろん、オーナー自ら犯罪に加担していたわけで、この事件の場合論外ですが。

また、非接触型のスキマー(読み取り機)を使って、電車の中など混雑したところで、かばんやポケットに入っている財布から、カードを抜き取ることなく情報だけ読み取られてしまうという手口もあるそうです。
これなどは、いつやられたか、なかなか気づきません。
さらに、ATMに隠しカメラが仕掛けられた、とか、ATMと銀行のシステムをつなぐダイヤル回線が盗聴された、など利用者にはどうしようもない、銀行の不注意だろ、と言いたいようなケースまであります。

問題は、被害に遭った場合に、銀行は補償をしてくれない、という事実です。
銀行の約款は通常、「偽造や盗難であっても暗証番号さえ一致してれば引き出されても銀行は責任を負わない」と定めています。
また、偽造カードによる引き出しの被害者は預金者ではなく銀行
被害届けを出すのは預金者ではなく銀行です。
盗難の際も、預金者が盗まれたものは、お金ではなく「プラスチックのカード」ということになります。

いくつもの預金者不利の規定がまかり通っている雰囲気を感じます。
まず、この不公平約款。
暗証番号の設定は残念ながら預金者の自己責任ということですね。
でも、古い銀行カードの磁気部分には、暗証番号が記録されているのです。
その情報を、非接触型スキマーなどで気づかぬうちに、自分の落ち度もなく読み取られた場合でも預金者の責任?
古い銀行カードを交換するには大抵費用がかかるようです。
預金者の側では、そういった知識がなければ新しいカードに取り替えようとは思いつかないし、磁気部分に暗証番号データが記載されているなどということも知りません。
技術開発を怠った銀行のせいではないでしょうか。
この約款、消費者契約法で無効にできないか?

また、「被害者が銀行」という点。
「被害者が銀行」といわれれば「銀行に泥棒が入った」に限りなく近いように思います。
そうであれば、カードの持ち主に全額負担させるような解決方法は不可解です。
約款の規定が根拠となるのでしょうが、このようなリスクについて通常銀行口座を作るとき、説明など受けませんよね。
金融商品販売法の「説明責任」にこれはあたらないのでしょうかね。

持ち主は「プラスチックのカードを盗まれた」という被害にとどまるあたり、情報(無体物)に関するチェックがどれほど遅れているかがうかがい知れます。

当面、ATM付近では周りに注意を払う、とか、暗証番号を個人情報と結び付けない、とか、持ち歩かない、とか、引き出し限度額を低くする、とか、しょっちゅう残高照会する、とかの自衛に頼るほかないようですが、このような事件が持ち上がったのを機に即刻法改正を行うべきです。
金融庁は、ホリエモンのフジテレビ買収を受けて即座に法の見直しを決めたようですが、こっちも急いでほしい。
一番弱いはずの「個人」「エンドユーザー」は後回しにされるのですね。

(H17.2.22)