消費税総額表示制度

2004年4月から消費税の制度が変わりました。制度変更の内容と影響をおさらいしましょう。

(1)そもそも消費税とは?

買い物をする時にかかる税金でわが国では1989年に導入されました。当初、3%の税率でしたが、1997年の改正で5%(消費税4%、地方消費税1%)に引き上げられました。
消費税は代表的な間接税です。
間接税とは担税者と納税義務者が異なる税金のことです。たとえば同じ消費課税でも自動車税の場合には、担税者が納税義務者となります。
このような税金を直接税といい、他には所得税や法人税、事業税、相続税、固定資産税などがあります。
(ただしサラリーマンの所得税は源泉徴収で勤務先が納税します。所得税が直接税の分類に入っているのはあくまでも自営業者や給与以外の所得を念頭においたものですね。)

間接税である消費税の場合には、納税義務者は事業者ですが、実際に税金を負担するのは消費者です。
つまり事業者は私たち消費者に代わって納税手続きを行いますが、実際に支払うお金は、買い物のときに消費者から徴収しています。
中間の小売業者の場合には、仕入れ時に自らも卸売業者に対して消費税を支払っています。
そこで、小売業者が納税をする際には、消費者から受け取った消費税額から仕入れ時に支払った消費税額を差し引いた分を納税する形となります。

納税義務がある小売業者は年間売上額が3000万円以上の業者とされていました。
3000万円を免税点と呼び、年収がそれ以下の業者は免税事業者となっていました。
私たち消費者から見ると、年収3000万以上の業者か3000万以下の業者か一見して判断することは通常できません。
それでも小さな食堂などでも消費税を取られる経験をしたことがあると思います。
小さな食堂でも材料を仕入れる時には消費税を支払っています。
その分を小売価格に転嫁してかまわないため、消費税を取る場合が多いのです。
ただし、仕入れ価格と小売価格は同じではありませんから、小売価格を元に計算した消費税と、仕入れに対して実際に払った消費税には当然差額が出てきます。
この差額が免税業者にとっては利益となるわけです。
これを益税と呼びます。

また、95%ルールというみなし制度があります。
小売価格の中には人件費なども含まれ、これは消費税の対象ではないはずです。
しかし、厳密にやると手間がかかるため、総売上高のうち消費税のかかる部分が95%以上であれば100%とみなして良いというルールです。
数%とはいえ、企業の利益となり、これも益税の一種であると言えます。
とくに大企業の場合にはこの数%がばかになりません。
消費税の不公平さ、問題点のひとつとして、この益税があります。

(2)平成16年4月からのおもな改正ポイント

免税点を1000万円に引き下げ・・・年間売上高が1000万円以上の場合、納税義務者となります。従来の3000万円から引き下げました。

簡易課税制度適用上限を年間売上高5000万円に引き下げ・・・仕入額の計算を簡単にするために、業種によりみなし仕入れ率をあらかじめ決めておくのが簡易課税制度です。みなし仕入れ率が50%であれば、仕入れをそれ以下に抑える努力により益税が発生します。この制度を適用できる事業者を従来の2億円から引き下げました。

総額表示の義務付け・・・商品の価格を表示する際、すべて消費税込み価格(内税)に統一します。店頭の値札や商品に印刷する価格だけではなく、チラシや広告も対象となります。

(3)注目すべきは総額表示の影響と効果

消費者に直接影響のある改正が総額表示です。
総額表示のメリットとは、表示がわかりやすくなる点です。
買い物の際の頭の中での計算が非常に単純になります。
現在日本では一律5%の単一税率ですが、欧州各国では必需品の税率を低くおさえる複数税率を採用しています。
わが国も複数税率になった場合、税抜き価格表示では、混乱がおきてしまいます。
ただし、税込み価格に慣れてしまうと、消費税を負担している感覚が徐々に薄れていくため、数年後に控えた税率引き上げの準備ではないかという感は否めません。
消費者にとって担税意識が薄れるばかりか、税率引き上げの際には消費者の負担感が小売店に対して向けられる形になり、政府は楽をするわけですね。

実際、総額表示導入から一年近く経過する現在、いかがですか。
税金を払ってる感覚、感じないですね。
私などは計算が苦手なため、楽になったなと感じております。
手持ちのお金がぎりぎりなとき、以前は買い物しようとする商品すべての金額を足し算した上、それに1.05をかけて支払い総額を頭の中で計算して買い物していたわけですが、「もしもお金が足りなかったらこの商品をキャンセルしよう」とか考えながらお会計をしていたものです。
最近、「×1.05」がなくなったため、計算が楽。
ただ、納税意識が薄れるのはくやしい。
忘れないためにちゃんと知識武装しておかないとね。

(総額表示の例)
・認められるケース・・・10,500円/10,500円(税込)/10,500円(税抜価格10
,000
円)/10,500円(うち税500円)など。
・認められないケース...10,000円+税/10,000円(税抜)/10,000円・税500円
など。

(H17.2.15)