消費生活アドバイザー資格とは

 

(1)実施団体と合格者数

経済産業大臣の認定する公的資格で、財団法人日本産業協会が毎年1回試験を実施しています。
昭和55(1980)年に第一回試験が実施されており、平成21(2009)年まで計30回、約12000名の合格者がいます。
合格者の男女の内訳は、4:6(平成21年度までの合格者累計)で、どちらかというと女性の取得者が多い資格でしたが、最近では男性の受験者・合格者が増加傾向で、平成18年度から合格者の男女比が逆転しています。
平成23年度試験の合格者は441名。合格者の男女比は55:45でした。

(2)試験の日程と受験資格

受験資格はありません。年齢や学歴に関係なく誰でも受験することができます。
試験は一次試験(択一式)と二次試験(論文と面接)があり、一次試験の合格者のみが二次試験に進むことになります。
二次試験で不合格となった場合には、翌年に限り、一次試験が免除されます。
試験日程は、一次試験が毎年10月初旬の日曜日、二次試験が11月後半の土日(人によっては面接が日曜日になる場合がある。論文試験は全員土曜日)で、正確なスケジュールは7月くらいに出される受験要項で確認する必要があります。

なお、資格の認定のためには、協会の定める一定基準の実務経験(消費者関連部門に1年以上にわたり週2日以上従事した経験など)が必要で、この基準を満たさない場合には2月末に4日間の実務研修を受ける必要があります。この実務研修は、2月末の月~木の日中、東京会場と大阪会場にて行われます。実務研修が必要な人はこれもスケジュールとして考えておく必要があるでしょう。

(3)試験科目

一次試験は大きく3時限に分かれています。
出題範囲は以下のとおりです。

【一次試験】

1.消費者問題
2.消費者のための行政・法律知識(1と2で2時限目・計15題・60分)
 (1)行政知識
 (2)法律知識
3.消費者のための経済知識(3時限目・計20題・80分)
 (1)経済一般知識
 (2)企業経営一般知識
 (3)生活経済
 (4)経済統計と調査方法の知識
 (5)地球環境問題・エネルギー需給
4.生活基礎知識(1時限目・計20題・80分)
 (1)医療と健康
 (2)社会保険と福祉
 (3)余暇生活
 (4)衣服と生活
 (5)食生活と健康
 (6)住生活と快適空間
 (7)商品・サービスの品質と安全性
 (8)広告と表示
 (9)暮らしと情報

【二次試験】
論文試験は、800字の小論文を1本60分で2本書きます。
1本目は第1グループの4題が出題され、その中から1題を選びます。
2本目は第2グループの範囲から同じく1題を選びます。

第1グループ(4題)
 ・消費者問題
 ・行政知識
 ・法律知識(特定商取引法関連)
 ・法律知識(その他消費者関連法など)
第2グループ(4題)
 ・経済一般知識
 ・企業経営一般知識
 ・生活経済
 ・地球環境問題・エネルギー需給

これは、あらかじめ一つの科目を選ぶのではなく、試験が開始すると同時に4問の問題文を読み、書けそうなものを選ぶという形です。したがって二次試験の準備は、一次試験の科目のうち、4の生活基礎知識を除く1.2.3について行っておく必要があります。

面接試験は3名の面接官によって行われます。
大体10分~15分程度で資質などが審査されます。
面接試験は論文試験のあと、午後に行います。受験者の多い東京会場と大阪会場では翌日になる場合もあります。
面接の時間は、一次試験の合格通知に記されており、遠方の人から順に終わるようになっています。
住居地によっては午前中に論文試験が終わり、夕方4:00頃に面接、となる場合もあります。
試験会場(私のときは八重洲だった)から40~50分の横浜市に住む私の場合、面接時間は日曜日の早い時間でした。

(4)資格取得にかかる費用

まず、全員に必ずかかる費用が、
・受験要項請求 送料含め490円 
・受験料 12,600円
・称号付与申請手数料(有効期限5年) 10,500円
です。

実務経験がない場合には、実務研修費用がかかるはずです。
(正確な内容は産業協会にお問い合わせください)
私が受けたときには4日間で8,000円くらいだったと思います。

試験と実務研修については、遠方の方は宿泊が必要になるケースもあります。
細かいことですが、交通費や宿泊費を考慮しておくと良いでしょう。
試験地は一次試験が札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・高松・福岡・那覇(那覇は隔年実施)、二次試験が札幌、東京、名古屋、大阪、福岡の5箇所です。
実務研修は、東京と大阪の2箇所です。

資格を取ったあとには、資格更新費用がかかります。
5年に1回資格を更新する必要があるため、5年ごとに手数料が10,500円と、更新講座受講料がかかります。
更新講座については、5年間に4単位(4講座)を取得すればよく、1講座は2,700円くらいです。
平成19年度からWEB講座も受けられるようになったため、更新講座のために会場まで行く必要がなくなりました。
遠方の方にとってはとくに朗報だと思います。

(5)消費生活アドバイザーの仕事

代表的なのは、企業や行政での消費者対応窓口での仕事です。
企業の「お客様相談室」や行政の「消費生活センター」「消費者相談ダイアル」などをイメージすると良いでしょう。
とくに行政の消費生活相談員の募集では、消費生活アドバイザーか、類似資格の消費生活専門相談員、消費生活コンサルタントの有資格者に限定している募集も多いです。
企業では、相談室の業務の他にも、業種や経営方針によって有資格者を歓迎する企業は多いと思います。
社内で取得を推進する企業も増えてきています。
日本産業協会では、消費生活アドバイザーの募集情報をネットに掲載しています。

 

消費生活アドバイザー試験の難易度

消費生活アドバイザー試験の難易度を一概にどのくらいと評価するのはとても難しいです。
私の感想では、択一試験(知識・けっこう広範)、論文、面接といったタイプの違う試験への対策をすべて行わなければならない点にこの試験の難しさがあると思います。
その点で、国家資格の中で行政書士、宅建あたりと比べると、人によっては消費生活アドバイザーの方が苦戦するかもしれないし、広範な「常識」をもともと身につけていて、文章を書くのも苦手ではない、と言った人にとっては少しの対策で簡単に合格するかもしれないです。

知識について言えば、これは一通りの試験対策の勉強が必要となります。
この試験は範囲が広いため、たとえばすでに行政書士などの資格を取得している人にとっては「法律知識」は楽勝かもしれません。
しかし、そういう人であっても衣生活や食生活、環境問題など他の分野で得点するためにはそれなりの勉強は必要でしょう。
とくに消費者問題と消費者行政については新聞などでも断片的にしか取り上げられないため、「一般常識」だけで合格点を取るのは難しいです。
もともとの知識の分量や、勉強の要領などが関係してきますが、一次試験を通過するためには最低でも試験2ヶ月前の8月くらいには猛勉強を始める必要があると言えるでしょう。
(一般的には初回受験では6ヶ月前くらいから準備する人が多いようです)

暗記と猛勉強がものをいう一次試験は、他の資格試験を受験していたりして勉強習慣のついた人にとっては、他の資格と同じような要領で知識を習得していけば一定の成績はとれると思います。
一次試験の合格ラインは65%くらいですので、ケアレスミスがまったく許されないというものでもありません。
ただ、次に差がつくのは二次試験です。

二次試験では800字の論文を60分で作成します。
ベースとして一次試験レベルの知識があれば書けますので、一次を通過した人は知識としては十分に二次試験に対応できるものをもっていると言えます。
ただ、文章を書く習慣の部分で差が開くというのがこの試験の特徴です。
問題文の読解力と、文章の作成力、それと面接で判定される適性が二次試験の決め手となりますが、これらは一朝一夕で身につけられる能力ではないため、もともとその方向での適性が高かった人は案外あっさりと二次試験に合格しますし、文章作成などを苦手とする場合には、ちょっと時間がかかるかもしれません。
そのために一次合格者は翌年一次免除で受験できるという制度があるのだと思います。

急ぎでない場合には、最初から二年計画くらいで合格を目指すようにすると良いかもしれません。

消費生活アドバイザーと消費生活専門相談員資格の比較

消費生活アドバイザー試験と同分野の試験に消費生活専門相談員試験があります。
消費生活センターの相談員や官公庁の消費者相談室の募集では、このどちらかの資格、または両方を要求されるケースも多く、併願する人も多いようです。
この二つの資格の違いを比較してみます。

●試験範囲

ほぼ同じと考えてよいでしょう。
消費生活専門相談員の試験範囲は
・消費者問題に係わる一般常識 
・消費者行政に係わる関連法規 
・消費者問題に係わる基礎的な法律知識 
・消費生活に係わる経済知識 
・消費生活上の商品・サービスに係わる知識 
・消費生活相談に携わるにあたっての基礎的知識 
と発表されています。消費生活アドバイザー試験でも出題される科目ばかりです。
あえて違いを指摘するとすれば、消費生活アドバイザーの「企業経営知識」「広告」「余暇」「情報」あたりは専門相談員の方ではあまり出題されないでしょうか。
(受ける方は必ず過去問を見るようにしてくださいね。雑誌国民生活の2月号に前年分が掲載されます)

●論文試験の形式

アドバイザーは800字/60分を2本書きます。
相談員は1200字/120分が1本です。
アドバイザーは8問から2問(4問から1問選択×2回)を選び、相談員は2問から1問を選びます。
相談員の問題ではあらかじめキーワードが提示され、これらを使って書くように指示されます。
アドバイザーの場合はキーワード付きもごくたまに出題されますが、基本的には問題文のみの出題です。
そのため相談員の方が書く内容は限定されます。
キーワードが提示されている問題は、キーワードがヒントとしてプラスに働くこともあるし、キーワードの意味がわからなくてこじつけて書かなければならない場合もあります。

●試験日程

どちらも一次試験と二次試験があり、10月頃に一次試験、11月に二次試験があります。
このため、もっとも運が悪い場合には試験日が重なることもあります。
一次試験についてはこれまでは相談員は土曜日、アドバイザーは日曜日に行われていますので大丈夫なのですが、二次試験が問題です。
相談員の二次試験は複数の地域で日程をずらして実施されます。
どうしても同じ年に両方を受けたい場合には、あらかじめ二次試験の試験希望地をアドバイザーと重ならない日程に開催される地域で出願するなどの裏技もあります。
●試験会場

①一次試験
アドバイザーは全国8箇所で行われます。(札幌市・仙台市・東京都・名古屋市・大阪市・広島市・高松市・福岡市)
相談員はなんと26箇所です。(北海道・宮城県・東京都・神奈川県・愛知県・大阪府・広島県・福岡県・青森県・岩手県・秋田県・山形県・新潟県・富山県・兵庫県・山口県・愛媛県・高知県・佐賀県・長崎県・熊本県・大分県・宮崎県・鹿児島県・沖縄県※平成23年度試験の場合。試験地は毎年若干変わるようです。青森から後は原則として県民のみ会場選択可)
自宅から行きやすい会場がある方を受けるという選択肢もありですね。

②二次試験
アドバイザーは全国5箇所(札幌市・東京都・名古屋市・大阪市・福岡市)
相談員も5箇所(愛知県・北海道・大阪府・東京都・福岡県)です。
一次に通れば合格まであと一歩ですから、地方の人も頑張って会場に行きましょうね。

●受験料

アドバイザー 12600円(この他資格認定に10500円)
相談員 11080円(この他認定証に1800円)

●実施団体
アドバイザー:日本産業協会
http://www.nissankyo.or.jp/adv/ad210.html
相談員:国民生活センター
http://www.kokusen.go.jp/shikaku/shikaku.html

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